[本]シャドウ
道尾秀介著
まだたったの1冊を読んだだけで言うのは余りにも早計!
でもひょっとしたら好きになれる作家を一人見つけたかもしれない。
まだ、数作の作家を評価するのは私の任ではない。残念ながら私にはそんな目は無い。が、読みながらこの作家の持っている資質のなんらかが私に「いい感じだぞ!」と囁いていた。
最近心して新しい、知らなかった作家の作品を読むようにしている。この頃ひどい脳の老化に我ながらてこずっているので、趣味も一新、友人も一新、旦那と息子も・・・とはいかないのが・・・というか、その両方からてこずられているといったところが真相?
三崎亜記さん、三浦しをんさん、薬丸岳さん、海堂尊さんと続けていますが・・・なかなか・・・いいかも・・・これからも・・・読めるぞ!楽しみです。
さて、この作品何が成功しているってあの科白です。
「人間は、死んだらどうなるの?-いなくなるのよーいなくなって、どうなるの?-いなくなって、それだけなのー。」
子供にそんな科白を言う母親って想像出来ないでしょう?
それに彼は今5年生、小学校のだよ!って、小学校以外の5年生って医学生か?ってほどのもんだよ。なのにその少年の3年前にもうその科白!なんだから・・・
この主人公が小学校の五年生だって?ありえないでしょ。この人(子じゃないのよ)容姿はともかく内容は大人より大人でしょ?いえ、私より大人でしょ?こういうのって生まれたときから大人なんだよ!
でもね、ハタッ!と、思い出したんです。幼稚園に入る前からずーっとお隣で、一緒にお手て繋いで幼稚園へ通っていたお隣のけんちゃん、小学校の3年頃だったかなぁ、けんちゃんのおかあさんがおかしいって大笑いしていたの。「けんじったらこの頃お隣の女の子って呼ぶのよ。」そう、その頃から一緒に学校へも行かなくなったんでしたっけ。
「そうか、やっぱり彼は五年生なんだ。」
それに彼のお父さん!節目節目の科白の良いこと!
だから最後のドキドキが盛り上がるんですね。
それにしても新聞を読むたびに?「精神科の医者ほど危ないものはないなぁ!」という気持ち、ますます増長しそうですね。
患者さん、ちゃんと面倒見て欲しいなぁ・・・と。犯人は精神科へ通っていたという記事が多すぎるんですもの。精神が素直に生き難い世の中なんでしょうけどね・・・そして治すのも至難なんでしょうし・・・対峙していると朱に?なんて。
やっぱりそんな俗な心配?、やっぱりした方がいいんだ!って。
おっと、これは作者の書きたいことと関係ないか。
最も心の場合何が健康で何が病んでいるって誰にわかるんだろう。
学校で何か日常と違ったことがあるたび「はい、○チャン、カウンセリング室で1週間放課後にマインドケアしてもらってらっしゃい。」なんて、先生が当たり前に言うようになるのかも?その日は近い。
明日と今日の間にも紙一重の変化がありうるのが今の社会なのだもの。あの年であんな経験をする子供たち、この子供たちにどんな明日が来るんだろう?今しなやかに乗り越えたかに見えるこの子たちの明日の心はどんなねじれを起こすだろう?だからしっかりこの作品は「今」なのですね。「今」を映す鏡です。だけど人間社会の問題として普遍です?