[本]螺鈿迷宮
海堂尊著
なんでこの作家の本を読むことにしたんだっけ?あ~?と考えないといけないほど昔?図書館に申し込みました。チーム・バチスタの事を聞きかじったからでしたっけ。それで図書館検索したら4冊本が出ていました。「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」「ジェネラール・ルージュの凱旋」そしてこの「螺鈿迷宮」。この作家の名前全く知らなかったんですから、全部申し込みました。この作家が書いた順には到着しなかったようですが、ままよ、です。
この本の裏書では現在勤務医ということと「チーム・バチスタの栄光」が第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞、しかわかりませんでした。どうやらご存知のフィールドを駆使した作品が多いようですね?お医者さん作家って結構いらっしゃいますよね・・・えーと・・・
文科系でもないのに、なんでこんなにお医者さんが文章上手いのさ?と、思うこともしばしばですが、この作品読み始めて最初に私が思ったのもそれでした。
先日読んだ薬丸さんのプロフィールも知らないのですが、彼より文にセンスがありますよ。私の好みに過ぎないのかもしれないけれど。
でも凄い勢いで書いていらっしゃるのでしょう?出版年を見ると。
ってーことは御本業の方はいかなる事になっていらっしゃるのでしょう?心配です。
私のいいお医者さんの原点はもうとっくにお亡くなりになられましたが、お隣の内科医院の河合先生でした。熱を出すと夜中もパジャマの上に白衣を引っ掛けて出てきてくれましたし、熱が下がらない時などは夜中に往診があると「ついでだ」と覗きに来てくれました。少なくとも海堂先生にはそんな時間は無いだろうなぁ・・・(それって、既に古き良き時代劇の世界かも?)
始めに取り付いたのがこの本でよかったのかどうか?なんかねぇ、この作品は取り組んでいる命題が見えそうで妙に見えない。
自己韜晦の迷宮なんて言葉が頭に浮かびました。
面白かったんですよ。一気に読みましたもん。でもねぇ、書きたいのが終末医療のあり方なのか?それに関する厚生省と医療現場の問題なのか?安楽死と自殺幇助サイトなのか?全死体解剖の計り知れない恩恵なのか?ま、全部なんでしょうけれど・・・それに向き合う人々が何ていうかそのぉまぁステレオタイプなのね?それで底が浅くなっているかも。書きたいものに向き合う姿勢は薬丸さんに1票!
って、誰が比べなさいって言ったの?そういう問題ではありません!
敵対する両方の情報をしゃべらせるのに実に便利なアンラッキートルネードで幸運の星下の坊やは二重スパイと両方に公言している調子のよさ。それで愛されるキャラなんて余りに底が浅・・・あらもうこの科白言っちゃってたわね。一寸安易な気がしませんか?
光と闇は並んでいたり、交じり合ったり、できるでしょう?ここまで対決姿勢をとる必然が今一伝わりませんでしたし・・・
行方不明人捜査は48時間が勝負!(FBI失踪者を探せより?)
こっち部門でもちょっと緊迫感が今一・・・ってそういう本ではないのか?
ただ医療現場の色々な事を覗き見できた面白さってやっぱり面白さでしょう。
尊敬すべき巌雄先生にはもっと普通の言葉でしゃべってもらって!彼の科白、折角「いいなぁ・・・」と思いたいのに、時代のギャップにけっつまずいてしまうのです。最先端の医療事情を頭の中に構築しようと努力していたのに、ここでも「あれ、時代劇だった?」になってしまう。
それに白鳥さんとか姫宮さんとかの性格有り得ない!それとも医療現場舞台コミックを目指して人物を造形したんで、これで良し!なのかなぁ?
それでも詰めの甘くない小百合先生がどう落とし前をつけるのか?覗いてみたい気持ちも十分に残っている一読者なのです、私。
この作家先生の早業なら、予約してある残り3冊が来る前に小百合先生巻き返すかも?