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[映画]クリムト

監督  ラウル・ルイス
出演  ジョン・マルコヴィッチ、ヴェロニカ・フェレ、サフロン・バロウズ、スティーヴン・ディレイン、ニコラス・キンスキー


「ウィーンといえばクリムト!」?ウィーンへ同行した友人と誘い合わせて行きました。で、やっぱり「クリムトといえばウィーン!」です。
金とエロスとをふんだんにてんこ盛りにしたエネルギッシュな装飾的な魅惑的な絵の作者として「クリムト」を思っていました。
それに扮するのがマルコヴィッチさんですし・・・凄い演技?が見られるのではないかという期待も勿論ありましたしね。「マルコヴィッチの穴」とか「ザ・シークレット・サービス」とか記憶に新しいところでは「リバティーン」とか、思い出しますよね。
でもそこには私が写真で見たクリムトの線を細めにして圧迫してくるような迫力を緩く薄めたようなマルコヴィッチのクリムトがいました。
でもエゴン・シーレが余りにそっくりで、「シーレ」という名が出てくる前に分かるくらいで、「ジョンは負けたな?」と、一瞬思ってしまったくらいでした。(はいはい、形態模写じゃないんですからね!)この若くして亡くなった画家は私がどうしても好きになれない絵を描いた人として覚えています。
二人の絵の間にある広がりを思うとクリムトの死の床に付添っていたのがシーレだったなんて不思議です。
映画はこのシーレが見守る中、ベッドで今しも死にゆこうとするクリムトの意識を流れる過去の断片を積み上げていくような感じでした。
作品中、時代の画壇のこと、美術・建築界の動向、パリとウィーンの在り様・・・は登場人物の会話で観客に説明されたようでした。
私が期待したクリムトの作品は幾つか映画の中で見ることが出来ましたが、作品を創造する現場はたった一っ箇所だけでした。
あの金箔が部屋中に巻き上がるところはクリムトの絵の世界を彷彿とさせて、この映画の中で唯一私の好きな場面でした。
唯一と書きましたが、私はこの映画に何を期待して出かけていったのでしょう?
画家の作品製作に纏わる逸話?画家のモデルとのいかがわしくも華やかな世界?ウィーン世紀末の画壇の中での彼の存在?かなり創作に関わったと思われる義妹との不思議なドラマ?
・・・そういう点ではこの映画は何も語ってくれなかったような気がします。彼の意識の中に意識を導くように現れる男の象徴するものも私には理解できませんでしたし(ただの狂言回しでいいのでしょうか?)、彼のあの多数の大作を生み出したエネルギーがどこから来たのかも結局分かりませんでした。
クリムトについての枝葉末節的な情報はかなり収集?出来たかもしれませんが。私には消化不良の何かを無理やり飲み込んだという感じが残りました。時代の空気感?は感じられたかな。
そのせいで「ねぇ、どう思った?」と。友人に聞かざるを得ないという気にもなったのでしょう。
「眠たくなった!」という答えを聞いて妙にほっとしました。
私は何か「ぼうっとしちゃった!」という感じでした。
何から得た創作意欲を作品にぶつけたのだろう・・・と推測していた・・・そんな場面を知るのを楽しみにしていた・・・単純な私にはちょっと高踏過ぎたのかな?
クリムトという人物を、また彼から生まれた作品への思いをこういう表現で見せたいと思った映画作家がいたんだ・・・と思って、けりをつけることにしましょう・・・わかんないんだもの・・・
しょうがないやって感じでしょうか。これ以上考えると何か無理やりこじつけそうなんです。

          

           

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コメント

            

クリムトはデザイナーでエゴンシーレは芸術家なのではないか?と思ったりもします。
映画は見ていないですけどね。
しかし、クリムトの絵がいくつもアメリカ行き!という
ニュースがしばらく前にありましたよね。所有権問題!!
結局どうなったのでしょうかね?

この映画を今度みてみますよ。

            

Anonymousさま
ヴァイダフニャド城前でお目にかかりました?
クリムトの印象的な金の絵は桃山の障壁画を思わせるような気がしませんか?
そうすると確かにデザイナーか!な。

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