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[映画]リバティーン


監督 ローレンス・ダンモア
出演 ジョニー・デップ サマンサ・モートン トム・ホランダー
    ジョン・マルコビッチ ロザムンド・パイク、ケリー・ライリー


本当はまず「ジョニー・デップ」という題でまとめていっぱい書きたいくらいですが、
とりあえずこの作品を見てきたので。
「シザー・ハンズ」で初めてジョニーに注目してからどれくらいの時間が流れたんでしょう。
不思議なことにこの人は、この時と今との間に時間が流れたと思わせないところがあります。
そして映画を見るたびに彼がジョニーと言う名を持つ俳優だと言う事を忘れてしまいます。
見るたび別人と言うと変ですが本人が消えてしまうのです。
見終わって暫くしてから「あージョニーって本当に魅せるなぁ!」です。
オードリーが何時どんな役で見てもオードリーがちゃんと輝いているのとは全く対照的に、
彼の場合は画面の中の男がいるだけでなのです。
良くも悪くも彼が演じている人物その人が銀幕を蠢いている感じです。
この作品でもそうでした。


それにしても男がカッコイイと対照的に女が描ききれていないと言うことがえてして多いのですが、
この作品では3人の女が輝いた分ジョニーは狂言回しになってしまったと言う感じを受けました。
ジョニーの語りで入り、ジョニーの語りで終る一代記のような体裁ですが、
実際ジョニーのロチェスター伯は狂気と悲壮と堕落を惨めなまでに迫真の演技で
画面を縦横無尽に占領しましたが、見終わった私は彼を取り巻いた3人の女性に当たったライトを心に焼き付けられた!という感じがしたのです。
それぞれに魅力的な女がそこには居ました。
ジョニーの演技が彼女たちに脚光を当てたようなのです。
あの時代女優が娼婦と同義語だった(日本の阿国歌舞伎の女たちがやはり春をひさいだように、どの世界でも同じ様な時代を経てきてるんだなぁ!)時代にあって、自分の生き方をするということがどんなに大変だったかと思う時いっそうこの女性たちは輝きます。
女優のレジーは言うまでもありません。
格好のいい科白が幾つもありましたから。
ロチェスター伯は芸術的才能がどんなにあったとしても結局時代の子。
彼女たちを完全には理解できなかったでしょう。
結局はあの時代の男に過ぎないのだから。
そう、あの時代にあの科白を言ったレジーは凄い!って思わされましたよ。
あくまで全くの対等を主張していましたよね。
そしてロチェスター伯の妻です。
ナント美しくいたことでしょう!(「プライドと偏見」のお姉さんですよ、多分)
あんな男を夫にしてどんなに屈辱と悲哀を味わったことでしょう?
でも見事に妻を貫きましたよ。
この時代にはもうあんな女性廃れてしまったかもしれませんね。
この女性からあの愛を引き出したロチェスターの「魅力を思え!」って?まぁね。
そしてあの娼婦です。
病み崩れていくロチェスター伯には自分への愛情も誠意も一片も無いと知りつつ、
引き寄せられてしまった自分の心のままに最後に追い払われるまで付き従った心とはどんなものだったのでしょう。


こう、3人の女を見事に浮かび上がらせたのはヤッパリ?
「ジョニーの魅力であり表情であり声音だった!」と、結局私はジョニーに唸って帰ってきたのですけれど・・・。
それにしてもナント猥雑で下品で、まるで印象的なあのどろどろのぬかるみのような時代だったんでしょう、食わせ物のチャールズⅡ世の時代は!
結局はあの時代が主題だったようですよ。

          
           

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