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[本]メリーゴーラウンド

ロザムンド・ピルチャー


メリーゴーラウンドはこの世界の象徴である。
子どもらしい、愛らしい、懐かしい、人がメリーゴーラウンドに抱いているすべてのものを思い出して欲しい。
そしてそれを美しい色彩の混沌というか、シャッフルというかしたものが、ここでのピルチャーさんの世界である。
つまり似つかわしいものの、理解しあえる人の、「輪」とでも考えたらいいのではないかなぁ。
血縁を取り除けてここには同じ魂を持った人々が自然に結びついて生まれた優しい世界が誕生している。
主人公のプルーは両親の愛も理解も受けなかったが、芸術家魂を持った伯母とその連れ合いにはとても愛されて幸せに育った。
サブ主人公ともいえるシャーロットは経済的には豊かだけれど愛の無い家庭で非常に孤独に育っている。
この二人がコンウォールの芸術家魂を揺さぶる美しい景色の中で出会って、同類という家族が生まれてくるという物語だと私は思って読んだ。
そしてこの物語のもう1つ女性読者を引き込まずにいないキーワードは芸術である。
優れた絵心を持っている人々が引き合って愛が生まれて、理解が出来て、ぬくもりが生まれていく。
なんと格好よくも魅惑的であることか。
芸術の才能の無い読者としては羨ましくも憧れる。
風光明媚な観光地での恋が語られるのだから、これが憧れずにいられようか?
全く、「アーティスト」「画家」って言うだけで殺し文句だ。
繊細で、気まぐれで、美の探究者・・・多分、絶対、永遠には独り占めできないものよ・・・ため息。

          
           

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