[本]ロザムンド・ピルチャーという小説家
タイトルにどの本の名を持って来ようかと思って、さじを投げた私です。
ですから例外的にこの作者の「総論?」と言うことで・・・。
だからって、「たいした本が無いから・・・」なんていうわけでは決してありません。
彼女の全作品がお薦めです!
「九月に」でも「シェルシーカーズ」でも「コンウォールの嵐」でも「スコットランドの早春」でも「メリーゴーラウンド」でも・・・
「長編はちょっとね。」という方には「ロザムンドおばさんの花束」でも「ロザムンドおばさんのお茶の時間」でもいいんです。
ちゃんと短編集もありますし、ちゃんとそこでピルチャーさんの世界に浸れます。
そうなんです!
どの本も見事にピルチャーワールドなんです。
サスペンスの香りがしたり、初恋のきらめきがあったり、かなり厳しい家族の事情なんかもあったりするのですけれど、結局はピルチャーさんのワンワールドなんです。
そういうと「代わり映えしないんだ!」と、思われちゃいますか?
いいえ、そういう意味でもないんです。
どの世界も確かに同じ雰囲気を結果的には味わわせてもらうことになると言うことは否定しませんが、でもそれはなんて素敵な世界なんでしょうと本を好きな女性ならきっと思うと思うのです。
優しい世界です。
ぬるま湯につかったような?
うん、確かに!
でもそこにはちょっと心を優しくしてくれる何かがあるのです。
美しい世界です。
イングリッシュガーデンのような?
うん、確かに!
でもそこにはそよ風の春も、厳しい冬も、孤独な夏も、吹きすさぶ嵐も、凍えるような雨も訪れるのです。
懐かしい世界です。
故郷のような?
うん、確かに!
でも見知らぬ世界です。
行ったことも無いイギリスの地方の、それだけに魅惑する風景とその土地の人々と友達になれるような、心が交感するような!です。
孤独だったり、理解されなかったり、様々なものに飢えている少女や娘たちもそこでは「分かってくれる」世界を見い出せるんです。
恋人だったり、祖父だったり、おばさんだったり、父だったり・・・
でも誰かを見出すんです。
そして新たな世界をも彼女たちは見出していくんです。
そして自分の道を知るんです。
そしてその世界を読む私たちはそれで心がほっかりと温まり、心地よい涙を拭って、彼女の幸せや旅立ちから力を分けてもらえるのです。
ピルチャーさんのワールドは慰めのワールドで私たちの心に満ち足りた涙を注いでくれるのです。
丸ごと彼女の世界を味わってみてください!
翻訳されて手に入るすべての作品を手にとってごらんください!
ただね、ひょっとしたら物語の結末であなたは思うかもしれません。
「女が、皆が皆、『僕が守ってあげるよ!』って、言われたいというわけじゃないわ!」って。
あなたはしっかり自分の足で立っているのですね?
それでもたまには、そういうあなたも、こんな世界で心を遊ばして
みるのも悪いもんじゃ有りませんよ。
その上で又明日自分の足で歩いていけばいいのですから。
そう、あんなにも頼りなく、自分のキャリァを積み上げるどころか
自分の足元さえ分かっていないようなあの若い娘たちも、それぞれに自分の足場を意識していくのですからね。
「私だって・・・」って、あなたは思うんじゃないでしょうか。
「明日私は・・・」とか「これから私は・・・」って思えるって素敵です。
そう一応「ピルチャー・ワールド」を説明させていただいて、
次から 「各論!」を随時入れていくことにいたしましょう。