[本]陰日向に咲く
劇団ひとり著
面白い名ですね。題も著者名も。
そういえばこの作者の方私は映画で知りました。
「10人ものキャラクターを演じる一人芝居で注目される」と著者紹介にありましたが、その本職を残念ながらまだ見たことは有りません。
そうか、そういう仕事をしている人だったのか・・・、それで、まじめに人を観察してキャラクターを練り上げる作業がきっとそのままこの本に結実したのでしょうね。
私から見るとふつうにあるとは思えない登場人物たちですが、さらさらとした書き様と淡々とした描写に、読んでいると実際今なら現実にその辺に居る人なんだろうな・・・なんて思えます。
モーゼが?ミャーコが?まさかぁ・・・なんて思っているうちに輪が一回りしてああそうか!と思った途端彼らは皆当たり前の顔をして私の世間にも住み着いてしまったような感じです。
妙にそれが皆まじめな顔をして居座っているんですね。
こんなの良くあるパターンだよ。「パルプフィクションとかさっ!」なんてつぶやいてもても「・・・えっとほらあの・・・」ともどかしい思いをしても。
一つの駅から一つの線路が伸びていってね、他の駅からも他の路線が伸びていってね、それが終点で合うのよ。そんでね又他の駅から出た路線がね、前の路線とどこかの駅で交差するのね・・・っていうようなのさ・・・」なんて自分に説明したりしてみたり。
私だったり、俺だったり、僕だったりする、各章の語り手たちは何の衒いも無く自分を語る。それが余りにあほな人生なのに・・・と、まじめな私はふと思ってしまったりもするのに・・・妙にじわ~んとした気分の中に居る。彼らを別に応援しようとかお説教しようとか何とかしてあげたいとか言う気分も全くないじゃないけれど・・・でもいいんだ!と、思っている?
そうだね!そうだね!確かにかげひなたなく彼らは彼らでそれぞれに生きているんだね。
なんだ、とってもいい題だったんじゃないの!
図書館に予約してほぼ1年くらい待ったと思います。
読み終わった途端映画化の話を聞きました。
劇団ひとりさんは出演するのかな?するとすればあの役だ!