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[本]天平冥所図会

山之口洋著


まほろ駅前を読んで大和は・・・なんて書いたせいか、続いて図書館から到着したのがこの本。まさにまほろば「奈良」の物語でした。
吉備真備、聖武天皇・光明子・その娘孝謙天皇、道鏡の時代を舞台にお役人さんと皇后に使える女儒を主人公にしたとてもおおらかな?味わいの小説でした。
神も怨霊も人も混在して住んでいた!この時代は!って感じ?
史実の中の実在の人物を想像の空間で自由自在に操った?物語。
主人公も一応知っている名前です。ほんのお役人の葛城の連さんも和気の広虫さんも、当然和気清麻呂さんも。
あの道鏡事件で宇佐に出向き、平安京造営で活躍し・・・と私が知っている清麻呂さんは強くごついイメージで(そうそう京都の蛤御門近くに住んでいた時は彼を祭ったお向かいの護王神社で年越しの甘酒を頂きましたっけ)したが、ここではおねえちゃんにこき使われる可愛い弟で・・・なんか楽しくなるような読み物でした。
山田風太郎さんの明治物で一葉さんら明治の文豪とニアミスするような楽しさに通じる感じですか。
歴史上の人物が妙に身近にリアリティさえも感じさせて、吉備真備さんが孝謙女帝を「あの娘」なんて言って案じるところなどなんとも・・・アットホーム?でいいなぁ。
神も神だから怨霊も怨霊で紙一重、死者も生者も紙一重。だから日本は和の国だったんだなんて妙にナットクしたりして。
上の方でどんなに権力争いをしていても、下で実地に事務を進める人たちがしっかり自分の分と倫理を踏みしめて仕事をきっちりしていれば世の中はちゃんと回っていくのに・・・と、今の社会保険庁ならびに政治家の皆さんの醜態を聞くに付けこの本の世界を思い出しそうです。
一体日本は何時からこんなに有能なはずのお役人が堕落したんだ?
「世界一有能な官僚社会だ。」って学校の先生は言っていたじゃないか!ホント「国は政治家が方針を決めるが居なくっても優秀な官僚が居るから大丈夫!」っておっしゃった社会の先生が居ましたっけ。
と、憤慨しておりますが。
きっとこの時代が終り、祭られることの無い怨霊が畏れられなくなった頃から官僚・役人はきっと堕落するだけだったのかもねぇ・・・?つまり葛城連戸主さんみたいなプロのお役人が居なくなって身過ぎ世過ぎだけのお役人さんになったってだけのことさ。その点今の学校の先生も聖職者なんて自負の無い只の三文役人になっただけのことさ!と、物語のおおらかさと反比例するように私の怒りのボルテージは上がったままなのでございます。
死んでも仕事の進捗が心配で幽霊になってでてきて手伝うこの坊やを煎んじて飲ます方法は無いもんでしょうか?
天神様!どうぞ天満宮になぞ納まりかえっていないで今の政治家にもバチを与えてくださりませ!
子供たちよ!お父様・お母様をちゃんと祭らないと怨霊になって祟るよ!
?紙一重で私神様の方に転げたりして?そんな可能性も万に一つ?

          

           

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