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[映画]厨房で逢いましょう


監督  ミヒャエル・ホーフマン
出演  ヨーゼフ・オステンドルフ、シャルロット・ロシュ、デーヴィット・シュトリーゾフ、マックス・リュートリンガー、レオニー・シュテップ


毒を食らわば皿まで?食欲の秋だし!思いっきり厨房三昧?
で、好き嫌いはともかくじっとり中身の詰め物が濃い映画はこれでした。ここには良くも悪くも等身大?と思わせる人間が居ました。
ずうずうしすぎたり、内気すぎたり、好戦的だったり、ゴシップ好きだったり、プライドがあったり、卑屈だったり、切れやすかったり・・・実際に居そうな人々が厨房の周りに確かに居ました。でも、多分あまり好きにはなれないような?
「恋と・・・スフレ」がおかしな女たちの素っ頓狂な賑やか厨房なら「幸せのレシピ」はNYのおしゃれな料理人の幸福溢れる厨房で(最初はぎすぎす厨房だったけど)、この映画の厨房は人生が深刻に交差する天才料理人の粒だった厨房でした。
ドイツ料理って逞しい!それにこの太っちょの腕のシェフはいかにもお顔までおいしそう!料理人って感じ。
そしてそれぞれの店に食べに来ている人々を見ていて、行けるなら私はこのグレゴアの店に行きたいと思いました。
あの金持ちの老人たち?の幸せそうな顔。食べている時の恍惚!
それはエデンも、エデンの夫も十分に堪能したはずのものです。
だから料理は断然グレゴア!
グレゴアの逞しい腕でむしられるトリ、はがされる羊?大きなボールの中で力いっぱいかき回される詰め物やらなにやら・・・厨房ではあんなにも決然として繊細に力強いグレゴアが多分彼のその繊細な感情ゆえにあのエデンの、あの傍若無人な図々しいずるさ、人の土俵に土足で踏み込む図太さにどんどん譲歩していく過程がなんとも・・・肝が煮えて・・・私のフォアグラも料理されちまった!
相手の好意をこんな風に使える女の厚顔さが許せない。
ところが彼女はどんどん食べれば食べるほど可愛い表情で満足を顔・眼いっぱいにグレゴアの目の前で表現して見せるんだよね。
そんな奴居る!確かに居る!悔しいけど確かに居る。
料理人には堪えられないくすぐり!来年の2月まで予約で詰まっているといってもその客はあの老人たちばかり?
料理の虜になっていくエデンよりも彼女のペースに巻き込まれていくグレゴアの虜振りが可哀相だけどよくありそうでもあるシチュエーション?エデンはグレゴルにとって災難以外のものではないのに・・・なんで旦那を告訴するとか・・・と、アメリカナイズされた?私が思っているうちにとんでもないことになります。そんなそれじゃあんまりだ!可哀相!もっともあのエデンの夫の人生ってどうなんだろう?最近の切れる中年(老年?)の一人なだけかも。それになんだろ、あの公園の老人たち・・・あれってなんか切ない!
で、不埒なのはあの再会です。
折角あの給仕殿とシェフと幸せを予感させる再出発の場に・・・現れたのは悪魔か天使か。エデンにいるのは怪しげなりんごを持ったイブ!この場合二人の子どもを連れた女だけど・・・(唯一の救いは美味しい物を食べた時の娘の表情!)
「又逢えて嬉しい?」大いに疑問で心配な私で・・・苛々苛々・・・!
でも人生ってひょっとしたら、えてして?こんなきつーいスパイスがふりかけられているものなのかも?


          
           

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