[本]「天切り松闇がたり」
浅田次郎著
1巻「闇の花道」
2巻「残侠」
先日から泥棒と刑事と言う組み合わせほど面白いものは無いなぁ・・・なんて思いながら本を読んでいたせいか、ふぃっと頭に浮かんだのがこの本です。
「泥棒と言えば天切り松がいたじゃないの!」です。まだ読んでいませんよ。そうよ!小耳に挟んだ情報からも面白そうですよ・・・!
でもね、まだそんなに沢山読んでいるわけではないのに「又、浅田サンの本を読むのか?」って一寸思っちゃうのはなんででしょう?余りに上手すぎてツボを心得すぎた彼のワールドに思うようにはめられちゃう気がして一寸抵抗感があるのですよ。溺れさせられちゃいそうな危うさ・・・その手に乗るか?って無駄な抵抗!同じ溺れるのでも藤沢さんの世界だと抵抗を感じたことが無いのはなぜかなぁ?ここは一寸思案の要あり?でも、まぁちょっとそれは置いておいて、泥棒さん読んじゃいましょう、絶対面白いに決まっているもの!
で、読み始めて1巻第1夜目で、「こりゃ音読向きだわ!」
2巻、声を出して読みきりました。めちゃめちゃ面白かった!どうにもこうにも面白かった!
図書館ではそろそろ3巻目が私を待っているはずです。え~まだ届かないのか?
友人からのメールに思わず「かっちけねぇ!」と題して、「何のことよ?」と返されて・・・現代に立ち戻る“やばさ”です。
またしてもやられちゃっている私ですが、この作品に関しては構いません。むしろ「もっともっとドツボにハマってみたい!」感じです。
この松の世界。私の記憶の底にある世界。震災前の大戦前の見たことも無い町だけど聞き知り実際私の歩いていた道筋に蠢く過去の人々の様はもうそれだけで私の心の琴線にジャーン!町内の頭とか鳶の兄さんたちの佇まいを思い出しましたね。今でも祭の時に見かけるようですが、姿は同じでも果たして中身は?
私の認識では山形有朋なんて化け物の悪人、怪物です。でも第2夜で踏鞴を踏んじゃいました。山田風太郎さんの明治物でもあいつは褒められたモンじゃないですものね。彼は維新の悪印象を全部背負って立ってる感じでしょ?それが・・・ねぇ・・・この男を描く章で「にいさん方もたかだか銭金のためにヤマを踏むてえ根性なら、これを限りにきっぱりと足をお洗いなせえよ。曲げちゃならねえてめえの道てえのは、盗ッ人にせえ大臣にせえ、たとえ千金積まれたって売り買いのできるものじゃあねえ。もっともこれが悔いのねえてめえの道だなんて言い切れるやつァ・・・盗ッ人千人、大臣千人並べたって、そうそういるもんじゃあござんせんがねー」って〆に持っていくんですよ。
そしてこの安吉親分の一家のそんな道を行った兄さん姉さんの物語ですから・・・「侠」の字が生きて立ってきます。「小政」さんの章なんてどうです?声を出して読んでいる私は涙も笑いも声に乗せてです。
山田風太郎さんの明治物にも確か小政の話が・・・彼はやっぱり長生きしたんですねぇ?
天切り松の生い立ち、これに負けない情なんてありゃあしません。
「カチューシャ」唄えるのですもの・・・べそかきカチューシャになるじゃありませんか。参ったなぁ・・・と、思いながら急いでこれを書いて3巻取りに行きたい行きたい、というところなんですが。
3巻では彼の泥棒修行が読めるのかな?楽しみ楽しみ!!!