[映画]京鹿子娘二人道成寺
出演 坂東玉三郎、尾上菊之助
「シネマ歌舞伎」というのだそうです。
平成18年2月歌舞伎座で上演された「京鹿子娘二人道成寺」を映像にして映画館で上映したものです。
実はかなり前から予告編も見、広告も見ていました。
でも、実際見に行く気はさらさらありませんでした。
歌舞伎も舞踊も舞台で見てこそという気があったからです。
この作品上映、1千円です。
歌舞伎の一幕見の値段と比べてどうか?という問題でもありません。
玉三郎さん、見るならやっぱり舞台で見たいじゃないですか。
それが先日「寿新春大歌舞伎」昼の部の最後に舞踊「喜撰」を勘三郎さんの喜撰法師、玉三郎さんの祇園お梶で見たのです。
その前見たのは・・・もう何年前になりますか・・・京都南座だったかなぁ?
それなのに玉三郎さんは何年も前と全く同じ、いやもっと?美しくて・・・その美しさにホント惚れ惚れと見惚れました。
勘三郎さんの喜撰法師はこの手の踊りを見せたらぴか一、滑稽味のある踊りをこの人ほど上手く踊る人を知りません。
あの体で?(失礼)どうして?と思うくらい軽やかに軽妙に・・・軽味が只者じゃない?素晴らしい踊りでしたのに、私ときたら玉三郎さんに釘付けでした。
姿形の美しさだけではないのですからね。一挙手一投足、手指の先から足のつま先の動きに至るまで、魅了しつくされました。
あの表情の無い表情、人形の魅惑に近いのでしょうか?こちら、見るものの心をそのまま映せる様な?
で、俄然見逃したこの舞台惜しくて惜しくて・・・仕方が無い、映画で我慢!の心境にコロリ転げたわけです。
大昔?歌右衛門さんの道成寺見ているんですが、正直あの頃あの方はもう美しくは無かったんですね・・・それにこっちも芸が分かるような目も無かったし。だから玉三郎さんの絶頂期を逃してはならじ!
東劇での最終日、満席の片隅に滑り込みました。着物の女性がいっぱいの華やかな劇場でした。その意味じゃ舞台にひけを取らなかったですね。
それで、どうか?これが難しいところです。綺麗な映像、音響も悪くなく、でもなんか一重挟まったような感動なんですね。
美しかったです。舞台が想像できました。やはり臨場感が全てなんじゃないかなぁ・・・舞踏はという感じでしょうか。
二度とないはずのものを映像にとどめておくのは意味があります。
取っておきたいですよね、留めておきたいです。でも目の当たりに見たい物は見たいです。その意味ではやはり次善のものに過ぎなかったです。舞台を見落とさないようにしようと思いました。
彼がうんと年老いた時その芸の素晴らしさが分かるようにこちらも目を養っておきたいものだと思いました。