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[映画]麦の穂をゆらす風


監督  ケン・ローチ
出演  キリアン・マーフィ、ボードリック・ディレイニー、リーアム・カニンガム、オーラ・フィッツジェラルド、メアリ・オリオーダン、マアリ・マーフィ


最初から最後までこんなに救いの無い映画ってあっていいのだろうか。70年前から今に、いやもっと以前からズーっと続いている事実のほんの欠片に過ぎない提示なのに・・・。
言う言葉も、考える脳細胞も、この映画のまえでは凍結してしまう。
しかもこれはまさしくイギリスはアメリカ、アイルランドはイラク!
「イラクは内戦状態」でしょ。アナンさんじゃなくとも。
強国の弱国にすることは同じパターンの繰り返し。そして弱国が陥るパターンも歴史が見せるとおり。
そのパターンを兄弟の仲に凝縮して、映画は不滅になったかな?
この監督の作品は初めて。今この作品ということはやっぱりイラク!映画が整理して見せたあの時点より70年余りたった今がIRAを含めてイギリス・アイルランドの状況が良くなっているわけでも無いようだし、とにかくその歴史すら外部の私たちにとっては理解の他というしかない入り組み方なのだ。何百年に渡って侵略され続けた国と侵略し続けた国の収拾の付かない惨めな憎しみの溢れる現状。丁度パレスチナ・イスラエル問題をどうしたらいいのか分からないような。
そしてイラクもそうなっている現状。
人はせっせと解決できない憎しみを紡ぎ続けているんだなぁ・・・と思った時に、省みられるのは日本の場合は中国・朝鮮半島の問題。
これ以上複雑に未来に残さないように・・・と、考えるべきだ・・・と、きっと多くの人が思っているのだろうに。
戦っている時、相手が強大なイギリスだった時の男たちの顔は輝いて魅力的に見えたのに、内戦になったら全ての男がまるで顔を上げられないように下を向いてしまったところが本当に切なかった。
「何故男は戦うのか?」以前に「何故男って戦う時に光が当たるように見えてしまうんだろう?」ということを考えなくちゃ?その光はまがい物で絶対的な間違いなんだよって思うのに。
悲しい民には美しく切ない歌があるんだなぁ・・・大地はこんなにも美しいのに。
受け取りたくないメッセージってあるよねぇ。
映画を見ているだけの私を許してくださいって、誰かに言いたくなる私がいるのよ。誰にも言えないし、何にもならないし。
ツィードの背広は本当に労働着だったのね。ツィードの上着を着て働く農民、馬の世話をする小者、トレンチを着て野に伏すゲリラたち・・・背広を着て働きすぎる男たちのDNAはこんなところに?
それにしてもまたしても今、この時、この日本の平和を大切に思い、維持できるよう・・・ここから始めて世界へ広げられたら。その平和も一皮剥けば風前のともし火状態?朝鮮半島を見、アジアを見、そして過去を見る。これが大切!
その意味では「父親たちの星条旗」に次いで「硫黄島からの手紙」も見るべきかも?!

キリアン・マーフィは一目見ただけで「あ、「真珠の耳飾の少女」のハンスだ!」と分かるくらい特徴的な顔の人ですが、あの映画では奇妙な顔という印象が強かったのに、この映画では妙にあの土地と溶け合ってインテリジェンスと民族性を体現しているようでした。役柄と俳優が見事に共鳴しているといった感じでしょうか?彼はアイリッシュ?

          

           

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