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[本]二人で探偵を

アガサ・クリスティ著


「アガサ・クリスティの奥様は名探偵」という映画に備えて原作の「親指のうずき」を読んで書いたばかりです。
それなのにこんなに早く訂正とお詫びを書く羽目になるなんて・・・。
誰にって?勿論、敬愛する「アガサ・クリスティ女史に!」に決まっているじゃありませんか。
「トミーとタッペンスの他の作品も読み直して見る。」と書いたでしょう?で、早速。
ここ数年で、沢山の古い本を処分しました。きれいな物はブックオフへ、中途半端な物は郵便局の貸本コーナーへ、どうにも汚れた物・名前を書き込んだ物等は諦めて処分しました。
エラリー・クイン様の黄色に変色した文字の小さな文庫もまとめて泣く泣く諦めましたが、クリスティ女史の作品は買ったもの1冊も処分しませんでした。だから汚くなった滲みだらけの古い文庫でこの作品を読み返しました。先日も書いたように初めて読んだ当時好きにならなくて、1回読んだだけでお蔵入りした小説です。320円で買った文庫です。
友人が貸してと「秘密組織」を持って行っちゃったので、「親指・・・」に続いて残されたこの作品を読み返したのですが・・・つまり「お詫びと訂正」です。
このトミーとタッペンスの短編小説群は「面白かった!」のです。
えー、何で若い頃この面白さがわからなかったのだろう?と、不思議ですが、「秘密組織」も「NかMか」も読み返していない段階でトミーとタッペンスが大好きになったとはまだ言えません?
だって「親指・・・」を読んだ段階ではやっぱり未だ私にとってはクィン氏、ポワロさん、ミス・マープル、パーカー・パイン氏の順は不動です。
でも、この作品は文句無く面白かったです!もう一度言います。
多分彼らの「なりきり探偵」群に当時私がついていけなかったからかもしれません。といって、今なら「皆分かる!」というわけでは勿論ありません。
今だって、よく分かるのはシャートック・ホームズ様くらいです。ソーンダイクさんは1冊ぐらい?ブラウン神父も1・2冊?フレンチ警部も1冊くらい?かじっただけです、それも遠い日に。
でも、最後の章でポワロとヘイスティングスが出てくるに及んで、思わずこの本の遊び心に喝采してしまいました。
多分私がもっと豊富な読書をしていれば?多分もっと面白く読めた!かもしれない・・・が、しかし、この短編集はトミーとタッペンスの掛け合いと呼吸が最大に楽しめる読み物になっているのではないでしょうか?
アルバートの活躍も楽しいし・・・犯人たちもそこそこ面白い?し・・・二人の息の小気味よさで思わず笑いながら読み進んでしまいました。
短編のせいか「親指・・・」で、もどかしく思ったようなところは無く、ぽんぽんと進むテンポもリズムも心地よくて、初めてこの夫婦探偵物を読むなら、この短編集から入るのがいいんじゃないかなぁ?と、思いました。
多分この「夫婦物」全部読んでみても、クリスティ女史の主人公への私の思い入れ順って言うのは変わらないと思いますけれども、「好きじゃない」とか「好きになれなかった」とか言う言葉は全部取り消します。
この作品の二人は本当にはつらつとして、楽しそうでした!
結果、私も楽しかったです。作者も書くの楽しかったんじゃないかなぁ。

          

           

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