[本]天使と悪魔
ダン・ブラウン著
「ダ・ビンチ・コード」に続いて私にとって第二作目のダン・ブラウンです。
同じロバート・ラングドンが主人公の作品ですが、この作品の方がラングトン物の第一作になります。
「ダ・ビンチ・コード」のヒットで私もこの作者を知ったのですが、そのヒットによってこの作品も脚光を浴びたようです。
しかし読んでみて驚きました。「ダ・ビンチ・コード」に劣らない面白さでした。読み終わる早さがそれを証明しています。こんな作品にぶち当たると日ごろのあらゆるもやもやが消し飛びます。
舞台・知識・驚愕!すべて申し分の無い盛り沢山さ?です。
バチカン・サンタンジェロ・ティベレ川・パンテオン・・・以前2日間だけさ迷ったローマの景色の記憶を総動員して私も主人公たちを追いかけました。
余りのスリルに、追跡に、疲れ果てて、ラングドンがボストンからローマに飛んで新しい教皇が決まるまでがほんの1日余りの話だということに気付く余裕も無いほどでした。
どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのでしょう?私の乏しい知識では計り知れませんでした。
最初に「事実」として載っているスイスにあるセルンという化学研究機関すら半信半疑です。
それなのにイルミナティと言う友愛結社に関する記載はなんとなく事実だと素直に読めてしまうのはこれが小説だからなのでしょう。
実際フリーメースンとかいう名になれば私でも知っていることが少しはあります。
それに、つい先ごろコンクラーベがありましたね。そのとき仕入れた知識も動員して、そこを足がかりに物語の中に埋没してゆきました。
それにしても「ダ・ビンチ・コード」と同じキリスト教が主題ですが、この宗教のよく言えば奥深さ、悪く言えば鵺の様な怪しさ・・・(キット?第三作目もこれが主題だ!・・・汲めども尽きぬ泉ってヤツだわ)キリスト教徒ならぬ私には想像もつかぬ世界ですから、却って興味が増すという感じでした。この作品でカトリックというものに関して何か知り得たような気がしてしまうくらいです。
この間の「ダ・ビンチ・コード」の映画のボイコット運動は貧しい世界でこそ激しかったと新聞で読みましたが・・・この作品から垣間見るカトリック(教会)は確かに「今危機に瀕している!」という感じをうけましたね。
カメルレンゴの危機意識は当然です。理解できます。
だってバチカンの根底を支えているのは主にヨーロッパの白人人種でしょう?そしてその人たちは世界の標準からいったら裕福であり、危険から遠いところにいる人たちですもの。
そしてヨーロッパの今現在の問題は流入してきた異教徒の難民乃至有色のキリスト教貧民のようですもの。
宗教観も帰属意識も・・・金持ち喧嘩せず!ですよ。
それにしても世界はやはり一握りの有数の金持ち集団に動かされてゆくのでしょうか?
そして憎悪と貧困からイスラム帰属意識の高くなっているアラブがこのままボルテージが高くなると、キリスト教者も宗教意識が高くなって・・・最悪の悪循環が・・・とか考えちゃいました。
・・・そしてそう思うと、こういう時、宗教者(というか、教会)が求めるのはやはり「奇跡に尽きるのだ!」と、納得しちゃった次第です。
この物語は、科学に対してのカトリックの一人芝居でしたが・・・。
この作品で一番面白かったのは宗教と科学に関してのレオナルド・ヴェトラの信念でした。彼が娘に語った幾つもの「教示」でした。私の理解の外かなぁって言う気もしますけれど・・・うーん!でした。
第3作が待たれますが・・・ラングドンって冒険物の主人公の男性としてはちょっと魅力に欠けますよね?図像学者(宗教象徴学)の知識(奥が深そう!)と言う点でだけ魅力を発揮するって・・・面白い冒険小説ヒーローの創造です!
それにしても何時かローマの巨大十字架の道を歩いて、(気を付けて)ベルニーニの作品群も見てこなくっちゃ!