[映画]ダンサー・イン・ザ・ダーク
監督 ラース・フォン・トリアー
出演 ビョーク、デヴィッド・モース、カトリーヌ・ドヌーブ
デヴィッド・モースの事を書いたからというだけではなく、「何時かこの映画のことは書きたいな。」とは思っていたのです。
ただこの映画の事を語る言葉が見付からなかったのです。
書き始めたからといって、言葉が見付かったわけでもありません。
モースを書いたついでの勢いです!
この映画がモースの映画の仕事での代表作の一つになるかも知れないと思っていますから。
見終わって重く深いため息をついたことは事実ですし、正直直ぐには二度みたいとは思いませんでした。
でも、ミュージカルシーンを思い出すと、見たくて見たくてたまらなくなります。
不思議な撮り方なのです。
絶対自然じゃないと頭の一部は囁くのですが、心は自然に受け入れて陶酔しています。
工場の場面でも、線路の場面でも、そこだけを取り出して見たいくらいに魅力的です。
でも取り出したら途端に意味の無いものになりそうです。
監督がこの映画にこめたものを考えたくない頭もビョークの歌声の前にはしびれました。
ビョークの歌声の力で、モースの演じる独善的な?アメリカ人警察官の心情の情けなさに比べて、移民のビョーク演じるセルマの心根のなんと言えばいいのでしょう、純情とも違うんですね、すれていない一途さとでも言いますか、その心がじっとりとネットリと張り付いてくる感じです。
筋立ての根底になっている眼病、なんでしょう?
設定のための設定で、これは余り深く何の病気で・・・なんていう解説はいらないのでしょうね、多分。
事を明らかにしないセルマの無知な頑固さに、私はいらつきながらも最後の最後に彼女の無知が一途さゆえに美しく思えてしまいました。
殆どビョークの圧倒的な歌の力と彼女自身の持つ味わいのなせる業だと思います。
母性を描くとこういうことって起こりがちです。
同情とか共感とかし易いのです。
私も無知な子どもが唯々可愛い一人の母親だからかもしれません。
科白と音楽と踊りが渾然として織り成した不思議さが物凄く魅力的でしたし、長く重く「記憶に残る映画だ!」と、とにかく「凄い!」と思いましたが、単純に好きかと聞かれると「好き」というのをためらってしまいます。
とにかくソファにひっくり返って気楽には見れないような気がします。
それなりに、「今日は見るぞ!」の覚悟をして・・・やっとでしょうか。
何しろ線路の場面をもう一度見たくてDVDを用意してあるのにもう何年も「そうっと」してあるのですから・・・。
カトリーヌ・ドヌーブが美しかったです。
彼女を見たのは久しぶりでしたから。
でもその後彼女を見たのは「8人の女たち」でしたから、ずっこけてしまいました。
ヤッパリ凄い素敵な女優さんでした!