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[本]ラブ・レター

浅田次郎著 


短編集「鉄道員」から


先日「鉄道員(ぽっぽや)」について書いたので、呪縛?が解けて。
浅田次郎さんが多分魅力的な作品を沢山生み出している作家と知っていながら随分遠回りしてしまったようです。
巡り合わせが悪いってことありますよね?
先日父にその話をして
「ヤッパリとっつきは「鉄道員」の短編集からだろうね?」
「あぁ、俺は大分前に読んだな。「鉄道員」より「ラブ・レター」の方が好きだと思った記憶があるな。」
だから今日は「ラブ・レター」の題で書こうと思います。
ぼんやりした記憶ですが昔立ち読みしたのはハードカバーの本で、「鉄道員」は確か中ほどにあったと思うので、今回読んだ集英社の文庫と同じ作品が掲載されていたのか確かではありませんが、この文庫には8つの短編が収録されていました。


「鉄道員」ではまた昔と同じところでじんわりと目に来るものがあり、改めて心を揺さぶる物語だと確認した感じです。
現実から一歩浮遊してメルヘンをかけた感じの程のよさが素直に心に響くのでしょう。
北海道の冬・雪・方言すべてがいい塩梅な感じです。
簡単に言ってしまえば、私は「角筈にて」が一番好きです。
しかしこの中の作品すべてが好きとは言えませんでした。
多分それは「ほど」のせいだろうなぁ・・・と漠然と思っています。
上手く乗ってしまえば確かに「ラブ・レター」は主人公と一緒に号泣できそうなのですが、先にああ泣かれてしまうと、乗れなくなってサトシと一緒に「・・・どうしちゃったんだよお、吾郎さん」って言う方に廻されちゃったぁ!っていう感じになってしまったようなんです。
持って廻った言い方ですねぇ、我ながら。
これだけ泣けそうなのになんか「何でかなぁ?」です。
「角筈にて」は多分夫婦の機微も父子の機微もおじさんの家庭もヴェールのようにかけられた優しさのフィルターに私の時代の香りを感じたからかもしれません。
浅田次郎さんて、多分手品の旗のように物語が頭の中から紡ぎ出てくる人なんじゃないかしら・・・?
自由自在なんですね、あらゆる境界が。
この短編集、今挙げた3篇と「うらぼんえ」は何かしら心に響きましたけれど残りの作品は苦手だなぁと思いました。
でもやっとお会いしたのですから、浅田さんの何か長編を読んでみたいと思います。

          

           

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