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[映画]映画という世界

息子夫婦が遅めの夏休みを9月の終わりに取って、ハリウッドへ行くと言う。
「ハリウッド!」
憧れの都の一つだけれど、私は決して行きたいとは思わない。
好きになり方にはいろいろあって、その表現も色々あると私は思っている。
そして私は「舞台裏を見たい!」というタイプの映画好き人間ではないのだ。
アジア映画はそんなに好きではないし、邦画も余り見ないのは、
決して欧米崇拝主義者だからではなく、目の色や皮膚の色が完璧に私と違う人たちの物語の方が夢世界に入り込みやすいからなのだ。
映画は私の夢であり、ロマンであり、異次元なのだ。
あぁ、ハリウッド!
夢を紡ぎだしてくれる源の大きな一つではあっても、そこに蠢き、生きているものには用は無い。
勿論スターには憧れる。
「なんて上手に私を異世界に誘いこんでくれるのだろう!」
という驚嘆があるから。
勿論監督にも憧れる。
「なんて上手に異世界を構築するのだろう!」
という感歎があるから。
映画の中で生きるすべての人物に私は感謝している。
「なんて上手にあなた方は異世界を紡ぎだしてくれるのだろう!」
ロマンスであれ、
冒険であれ、
SFであれ、
ハードなノンフィクションであれ、
ナンセンスであれ・・・
私の住む日常では知るよしも無く、住むよしも無い、
そんな世界を繰り広げてくれるなら、
私は大体において歓迎の手を差し伸べて、味わう。
「ジョニー・デップの手形を写真に撮ってきてあげるね。
ブラッド・ピットのも欲しい?」と、彼らは聞く。
「勿論!」と私は答える。
私は彼らの映画をなるべく多く見たいと思っている。
彼らは私を魅了する。
でも、「ピーター・オトゥルの手形があるか探してね。」
と私は付け加えた。
「なに、それ?」
「それ?」
彼はもうこの世代では「人ですらないのか?」と私はがっかりする。
未だに彼は見ようとすれば画面の中で生き生きと生きているし、
現実に生きているのに。
でも私はおとなしく答える。
「「トロイ」見たんでしょ?プリアモスをしていた俳優よ。」
「プリアモスって、誰だっけ?」
「パリスをやったオーランド・ブルームの父王役。綺麗な銀髪の青い目の上品な哀れな王。いたでしょ?」
「あぁ、あれ。あの人そういう名前?」
そうだろうな。
フレッド・アステァやクラーク・ゲーブル、ジョセフ・コットンやひょっとしたらスティーブ・マックィーンも、
もっとひょっとしたら?ジェームズ・ディーンでさえも
「誰?それ?」になるのだろう。
最近「夫婦50割引」で映画を見始めて、映画に興味が出てきたという私の友人が
「ねぇ、TVで見たけれどフレッド・アステァだっけ?しなびたおじいちゃんが踊ってて、スターだって言われてたけれど、何であんな貧相な人がスターだったの?」
と聞いて私を絶句させた。
「ひ・ひ・貧相?」「!」
で、つらつら考えた。
そうか、今初めて彼を見たからそう見えるんだ。
時代だね。
「子どもの時にリアルタイム?でもないけれど見ていた私にはあの踊りは夢のようだったからね。あの背景もあの時には素晴らしいと思ってみていて、楽しく笑ったものよ。多分その違いなんだろうね。私には今でも彼はスターだもの。踊り、歌い、輝いていたよ!」
かくして時代は移り人は代わる。
しかし心に一度スターとして住み着いた者は永遠にスターとして輝き続ける!
そういうわけで私はピーターの演じた銀幕のすべての人物に魅了されているけれど、彼に会いに海を越えようとは思わないし、
ジョニーの演じた殆どの役柄を楽しんでいるけれど、彼が来日したからといって空港に駆けつけたりはしない。
私は架空の世界だけを「永遠に憧れ続けるだけ」のおっくうがりの恋人なのだ。
そんな私の「映画紹介」
あなたの役にたつといいけど?

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